京都ライカブティック(Kyoto Leica Boutique) - photographer 第四回「NOCTILUX-M 50mmF0.95ASPH.」を使ってみた
ライカに始まりライカに終わる

市川泰憲(写真技術研究家、日本カメラ博物館)

  市川 泰憲(いちかわ やすのり)
1947年東京生まれ。中学・高校・大学と写真部に所属。1970年東海大学工学部光学工学科卒業。
同年写真工業出版社入社、月刊「写真工業」編集長を経て、2009年より日本カメラ博物館に勤務しながら幅広い写真活動を続ける。日本写真協会、日本写真芸術学会、日本写真学会会員、元東京工芸大学芸術学部写真学科非常勤講師

■ブログ「写真にこだわる」開設しました
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第四回「NOCTILUX-M 50mmF0.95ASPH.」を使ってみた
●最も明るい写真レンズF0.95
【NOCTILUX-M 50mmF0.95ASPH.を装着した
 ライカM9】
レンズ本体だけでも630gの重量がある。
 M型ライカ用の大口径50mm標準レンズであるノクチルックスは、1966年に世界初の非球面採用の写真撮影用レンズ“ノクチルックス50mmF1.2”として登場したのが最初。以後、1976年に球面の“50mmF1.0”となり、さらに1994年に50mmF1.0のままで改良型が発売され、それに引き続くのがの最新モデル「ノクチルックスM50mmF0.95ASPH.」となる。
  この50mmF0.95という焦点距離・F値のレンズは、1961年にキヤノンがレンジファインダー機の7用に発売したことはご存じだろう。ほぼ50年後に発売されたノクチルックスの50mmF0.95、この間の光学技術の進歩を知るうえでも興味深いものがある。なお、今回のノクチルックスM50mmF0.95ASPH.では、初代同様に非球面を採用して“非球面レンズ初採用のライカ”の面目躍如といったところだ。

●絞り開放F0.95の魅力
 ライカカメラ社によると、F0.95という明るさが導き出す極めて浅い焦点深度により、他のレンズではまねできないポートレイトやデティールこだわった撮影が可能だという。また、第3世代ノクチルックスより、確実に口径食と歪曲収差が抑えられているという。そして絞り込んだときは、いままでのライカで製造された50mmレンズとしては最高の描写を示す1本だとアナウンスされている。
  レンズ構成は5群8枚、一部に銀価格の2倍に相当する高屈折ガラスを採用し、いわゆる対称型のダブルガウスタイプで、2枚目前と最後面8枚目の後に非球面を採用し、さらに後群にフォーカスフローティングを採用し、近接時の描写特性を向上させているという。
【レンズ構成図】NOCTILUX-M 50mmF0.95ASPH.