京都ライカブティック(Kyoto Leica Boutique) - photographer 第二回「LEICA S2を使ってみた」
ライカに始まりライカに終わる

市川泰憲(写真技術研究家、日本カメラ博物館)

  市川 泰憲(いちかわ やすのり)
1947年東京生まれ。中学・高校・大学と写真部に所属。1970年東海大学工学部光学工学科卒業。
同年写真工業出版社入社、月刊「写真工業」編集長を経て、2009年より日本カメラ博物館に勤務しながら幅広い写真活動を続ける。日本写真協会、日本写真芸術学会、日本写真学会会員、元東京工芸大学芸術学部写真学科非常勤講師

■ブログ「写真にこだわる」開設しました
http://d.hatena.ne.jp/ilovephoto/

第二回「LEICA S2を使ってみた」
ライカS2と交換レンズ
(この機材の撮影は2008年10月です)
  中判デジタル一眼レフカメラの「ライカS2」がいよいよ発売される。業務用といわれるだけに高価だが、ライカ判24×36mmより大きい45×30mm、3,750万画素CCDはどんな写りを示すか大変興味がある。
  僕はいろんなカメラメーカーとのおつきあいは長いが、海外メーカーでプロトタイプのときからこれだけ複数回触ることができたのは初めてだ。S2を最初に触ったのは、2008年の10月。ドイツでのフォトキナ終了後に、ライカカメラ社のキャラバンが日本に持参したのを操作させてもらった。ただし、この時点では動かなかった。2回目は2009年の9月。このときはM9とX1の発表に合わせて、S2もきていた。運良く開発担当者のステファン・ダニエルさんの許可を得て3機種とも試写したが、いずれもプロトタイプということで、画質は評価(公開)しないというのがいわずもがなの約束事だ。このときのS2は、大きくて、重いという印象で、AFもジーッ、ジーッという感じで動作は緩慢だという印象だけが残った。
  そして今回の3回目、12月の初旬にモデルさんつきで試写する機会に恵まれた。手に持って電源ON、そしてシャッターボタンを半押ししたとたんにびっくりした。恐ろしくAFスピードが向上しているのだ。ファインダーをのぞき、シャッターボタンを半押しすると“ジッ”ピタッという感じで小気味よく合焦する。ボディも妙に手になじむ感じで、日本のメーカー風にいうとエルゴノミックデザインとでもいうのだろうか。グリップ感がよく、動作が俊敏だと、重さも、さほど感じなくなるから人間の感覚なんていい加減なもんだ。フォーマット、価格を別にすれば、ライカR8、R9ユーザーなら文句なく軽々と振り回すことができるだろう。