● レンズ設計タイプが大きく関係
レンズ構成を見ると、赤偏色の発生するレンズは対称型レンズかそれに近似したタイプである。最近のレンジファインダーカメラの広角系レンズの構成は、一眼レフの交換レンズと同様にレトロフォーカスタイプになって久しく、周辺光量の低減を防ぐためといわれてきたが、バックフォーカスを稼げることからデジタルの時代になって光束が撮像素子に対して直進的に入るテレセントリック性の向上にも関係してきているようだ。
●距離計連動デジタルライカはライカ判で始まる
結局、僕のお気に入り「スーパーアンギュロン21mmF4」の赤偏色は現状では避けがたいものとして存在することになる。ここはライカカメラ社のアナウンスを信じて、じっとがまんということだろうか。 ところが、仮に赤偏色がとれたとしても、実は大きな問題がもうひとつある。フィルム時代と違って、周辺光量の落ち込みがデジタルではかなり目立つのだ。冒頭に「周辺光量落ちの具合がなんともいえないのが魅力だ」と書いたが、落ち込みの具合が違うのでは、まったく別のレンズとなってしまう。このあたりは、絞り込むことによってある程度周辺光量の低下率を低減させることもできるが、さまざまな場面でもっと使い込んでみなくてはなんともいえない。 そして、極端に誇張された周辺光量が落ち込んだ写真は、写りすぎるデジタルの時代にあっては、逆に面白い画面作りができるかも知れない。もちろん最新の21mmレンズを使えばいいのだけど、“お気に入り”に対する思い入れとはそんな簡単なものではない。しばらくスーパーアンギュロン21mmF4はカラーフィルムで、そしてM9では色情報を抜いてモノクロ用として使ってみよう。これが最も簡単な対処法である。もともとライカにはモノクロがよく似合う。 フィルムカメラとデジタルカメラを同じ感覚で使うためにはフルサイズは重要。そもそもフルサイズはライカ判といわれてきた。24×36mm=ライカ判、この画面サイズに対する画角はカメラのスタンダードなのだ。ここに登場したヘクトール28mmF6.3の発売は1935年だから、すでに75年近く経っている。そんな昔のレンズが最新のM9で距離計連動、AEで使えるのだから素晴らしい。古くからのライカ純正、そしてライカでないメーカーのレンズを使い楽しめるのもライカならではのものだ。APS-HサイズのM8では、実焦点距離に対し1.33倍の画角変化係数をかけなくてはならなかったが、ライカ判のM9ではそのままの画角で使える。距離計連動ライカのデジタルはライカ判M9の登場でこれからが本番だと思う。 |