大阪府立近つ飛鳥 平成11年度春季特別展

修羅!
−その大いなる遺産 古墳・飛鳥を運ぶ−





ごあいさつ

1978年春、大阪府藤井寺市三ツ塚古墳の周濠底から、大修羅の頭部の一部が検出されました。
  その段階では、大型の加工された木材の一部といった程度にしか判りませんでした。
  そのため、その全容を明らかにし、それが何物であるかを見極めなければ発掘調査を完了できないということになりました。

  まず大修羅の前半部が検出され、この段階でマスコミに大きく取り上げられることにもなりました。
  「修羅」の名称もこの時から広く喧伝されることとなりました。
  発掘調査担当者の方も「修羅」という言葉を知ったのはこの時のことで、
  大阪城の石垣などを研究されている人から伝えられたとのことです。
  この名は考古学的には必ずしも妥当なものではありません。ふつうは「橇形木製品」というようなものになるでしょう。
  また、一般的には「木橇」でしょう。ただ、三つ塚古墳での出土後、
  このようなY字形になったソリを「修羅」と呼ぶことが多くなったのは確かです。
  大古墳にある石棺を運ぶ修羅のような道具は、早くから推測され、学説はありましたが、実物が出てくると迫力が違います。
  さらに、1500年前にそういうものがすでに使われていたということ、
  そして、それを目の辺たりにすることができたのです。

  その大修羅をすぐに、多くの人がじっくりと見ることができたわけではありません。
  木でつくられた大修羅は出土した時、水に浸かり豆腐のようにブヨブヨになっていました。
  何もしないで乾燥すると変形してしまいます。それを止める保存処理が必要でした。
  その技術は日本ではじまったばかりでした。
  世界の例をとっても、八・八メートルという大きなものを保存するということは未だ試みの段階にすぎませんでした。
  そのため、参考にできるデータは何も持たないまま、保存処理を実施することになりました。

  結局、処理中に生じたひび割れやねじれも最小限に押さえ、一四年の歳月をかけて完了しました。
  修羅の保存処理はある意味で壮大な実験だったのです。大修羅はその後、本館に運ばれ、展示されています。
  修羅出土のきっかけとなった発掘調査は共同住宅の建設が計画されたことに起因します。
  それは学術目的でない分、意外性を生み続け、日夜、報道されることもめずらしくありません。
  ただ、それらは一過性も強いものですが、修羅については発掘・保存・展示までと続いためずらしい例です。
  とりわけ大修羅が何を運ぶために使われたかは、その巨大さが因となって、出土以来、様々に論議されてきました。
  その間、京都府や福島県内の発掘調査での類似品の出土、近世築城の石材運搬具への注目はもちろん、
  日本民俗資料、インドネシアをはじめとする民族資料の探索報告に至るまで様々なものが蓄積されることになりました。
  大修羅は道具でもあることから、実際に使ってみたくもなります。
  単に大きいという石だけでなく、石棺を運んでみるシュミレーションも試みられました。
  出土後二一年が経過した今、三ツ塚古墳出土修羅とその類似品を新たな具体的状況としてとらえ、
  多年の研究集積を振り返ることが必要な時期であると考えます。
  そのため、ここでは様々な資料を送り出すことによって、
  さらなる観察、製作法、使用法、類例、発掘・保存の意義を問いかけようとします。
  そして報道・教科書などを通じて修羅をとりまく地域社会のあり方もみつめるという場を
  この特別展でつくりたいとも思っています。
  本展で、この偉大なる遺産にあらゆる角度からアプローチしていただくことができるのならば、
  これ以上の幸せはありません。

  平成11年4月20日

  大阪府立近つ飛鳥博物館
  読売新聞大阪本社
  読売テレビ


特別展の主旨

1978年の大阪府三ツ塚古墳の濠の発掘調査で、「修羅」と呼ぶ重量物運搬用のソリが見つかった。
   ものを運ぶ道具が、古墳・飛鳥時代にあることは想像していましたが、
   それが目の当たりに姿をあらわしたのです。それは一体どのようなものか。
   その後の行方は?
   そのつくり方は?
   使い方は?
   はたして、本当に使われたのか?
   何を運んだのか?
   世界に類例はあるのか?
   修羅のすべてを今、探ります。


特別展の内容

展覧会名:「修羅!−その大いなる遺産 古墳・飛鳥を運ぶ−」
   主  催:大阪府立近つ飛鳥博物館・読売新聞大阪本社・読売テレビ
   協  賛:近畿日本鉄道
場所

大阪府立近つ飛鳥博物館 
585ー0001 大阪府南河内郡河南町大字東山299番地
0721−93−8321
(近鉄あべの橋駅から、長野線喜志駅下車、金剛バス喜志駅から、阪南ネオポリス行き終点下車)

期間

平成11年4月20日(火)〜6月20日(日)
月曜日は休館
ただし、5月3日〜5日(祝)は開館、6日(木)は休館。

入館料

大人600円、高校・大学生400円
中学生以下・65歳以上の方(年齢を証明する保険証等をご持参ください)
・障害者手帳等をお持ちの方(介護を要する方は、介護者1名を含む)は、入館無料
*20名以上の団体は、2割引の料金

開館時間


午前10時〜午後5時(入館は午後4時30分まで)

展示の見どころ

*本館の「修羅」と同じY字形の二股ゾリや、「修羅」と呼ばれている品物を、
 古墳時代のものから近代のものまで、一斉に展示します。

*弥生時代から現在までの、ものを運ぶ道具や装置について、
 比較・検討することにより、修羅使用の実態に迫ってゆきます。

*日本や世界の巨石記念物や様々なソリの使用も含めて、
 修羅の実用性を検証します。

*21年前の修羅発見当時の報道から、現在に至る、
 修羅保存の経緯を紹介します。

*今回の特別展にちなんだ、修羅引き体験や巨大石室のワーク・ショップを、
 期間中に開催します。


主な展示品目

1.京都府・石本(いしもと)遺跡出土「修羅形木製品」 
((財)京都府埋蔵文化財調査研究センター)

2.京都府・鹿苑寺(ろくおんじ)庭園出土「土師器皿、瓦質火鉢」 
(京都市考古資料館)

3.福島県・長沼南古館(ながぬまみなみふるだて)遺跡出土「修羅」 
(長沼町教育委員会)

4.岐阜県・小坂町福応寺「マタゾリ」 
(飛騨民俗村・重要有形民俗文化財)

5.福島県・原山1号墳出土「担ぐ男子形埴輪」
(福島県教育委員会)

6.岐阜県・飛騨「セイタ」
(飛騨民俗村・重要有形民俗文化財)

7.大阪府・夫婦塚古墳出土 「騎馬人像形土製品」
(東大阪市教育委員会)

8.大阪府・鬼虎川(きとらがわ)遺跡出土「ソリ」
(東大阪市教育委員会)

9.京都府・「石曵図」
((財)藤井永観文庫)

10.兵庫県・「摂州御影(みかげ)石匠之図」
(大阪城天守閣)

歴史セミナー

*午後1時30分〜3時30分 博物館地階ホ−ル
*定員200名   参加無料

第1回 4月25日(日)
「<修羅>出土 21年」
坪井恒彦
(読売新聞大阪本社解説委員)

第2回 5月9日(日)
「世界の中の修羅」
坪井清足
((財)大阪府文化財調査研究センター理事長)

第3回 6月6日(日)
「情報とものを運ぶー中国秦漢帝国のネットワーク」
大庭脩
(本館館長)

第4回 6月20日(日)
「修羅と古墳時代」
都出比呂志
(大阪大学文学部教授)


解説トーク

*午後1時30分〜3時30分 博物館地階ホ−ル
*定員200名   参加無料

第1回 4月29日(祝)
「古墳・飛鳥時代の運搬具・輸送具」
岩瀬透・山本彰
(本館学芸員)

第2回 5月16日(日)
「修羅とは」
黒田一充・三宅正浩
(本館学芸員)

第3回 6月13日(日)
「巨石の運搬」
一瀬和夫・向井幸一
(本館学芸員)
 
ワークショップ
 
こども修羅引き行列
    5月2日(日) 13時30分〜15時30分  近つ飛鳥風土記の丘
          (参加自由・修羅引き行列で古墳衣装を着たい方のみ事前応募)
          募集人数:20名 募集対象:小学1年生〜6年生
          募集締切:4月20日(火)まで(必着)
          *応募多数の場合は抽選、なお当選者の集合時間等は上記と異なります*

   ダンボール箱でつくる横穴式石室
    5月30日(日)・6月12日(土) 13時〜16時  博物館地階ホールほか
          (2回連続、事前応募必要)
          募集人数:50名 募集対象:小学1年生〜大人
          募集締切:5月11日(火)まで(必着)
    *事前応募の必要な事業は、往復ハガキに住所・氏名・電話番号・年齢 ・事業名を記入の上、お申し込みください*

校外学習ワーク・ショップ
 
期間中の校外学習に、ワーク・ショップを組み込んだ
   「博物館見学」を希望する 小学校を募集しています。
   ワーク・ショップの内容やタイムスケジュール等の詳細は、
   担当までご連絡ください。その都度相談いたします。
        担当連絡先:学芸課 向井 TEL:0721−93−8327

 

OSAKA PREF. CHIKATSUASUKA MUSEUM

〒585-0001 大阪府南河内郡河南町大字東山299番地
TEL. 0721-93-8321(代)
FAX. 0721-93-8325

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